お知らせ

News

地盤沈下した工場の救世主⁉︎サンドゲル工法

こんにちは、総合建物リニューアルを行うAIM株式会社です。

 

どんなに最前線で大活躍の生産工場も10〜15年もしてくると
重機の詰まった床に重機がめり込んだり、そこから水が吹き出してきたり、
ひょっとするとフォークリフトの走行中に床が抜けるなどといった、いわゆる工場床の地盤沈下が起こります。

 

しかし、床下というのは外から見えません。そのため太陽の紫外線や熱、雨や雪から浸水を防ぐ屋根の修繕や外壁の塗装と比べて予算が用意されていないことがほとんどです。そもそも地盤確かな土壌の上に建てたり、地中不覚に杭をきちんと打った自負のある工場ならば、余計に床下への心配など皆無と思われるかもしれません。しかし、それこそが工場管理における盲点なのです。実は工場の地盤はほとんどが10年もすれば大きな空洞化が起きます。

 

■どのような空洞ができるのか

空洞と聞いて連想するのは大きな穴の広がりだったり、敷地の床下一部だけポッカリ穴が空いていたりといったものかも知れません。しかし、実際は床下コンクリートと地面との間に3〜5cmの隙間が並行して浮いていき、くっついている部分が減っていくといったものになります。床の荷重耐久度は土間とコンクリート床がくっついている前提で負荷がかかることを計算されます。
一方でコンクリートは竹と違ってしなりが無いのですぐに破断します。
このように床下は硬くても、脆い素材のため、地盤沈下しやすいのです。

 

【なぜ空洞化が起きるのか】

基本的には様々な理由があり、原因は特定できません。
ただ、想定できることとして以下の理由が考えられます。

 

■ミニ液状化現象によるもの

まず液状化現象とは、振動によって砂利が大きさによって分類されます。その際、大きな石が上に行き、小さい砂などが下に移動します。
すると地下水が閉じ込められますが、下は細かい砂なので水の潜る場所が無くなっていきます。その結果、隙間の大きい上に向かって水が押し出されます。
こうして噴き出すのが液状化現象です。

これが大地震ならば本来は何億トンの岩や砂利が一斉に動くので液状化現象が一瞬にして起こります。しかし日本は地震大国です。普段から微弱な地震が毎日のように起こっています。他にも工場内部の機械の振動やフォークリフトの走行による振動、はたまた近くを走る新幹線による振動などでフルイにかけているような状況が常に発生します。これにより少しずつミニ液状化現象が起こります。そしてさらに、このミニ液状化現象により噴き出した水が工場床下のコンクリートにぶつかり、再び行き場を無くしたことで工場床下で裾野を広げるように空洞を広げていくのです。

 

■水道によるもの

日本は湧水が豊富な国です。そのため、地下水脈(水道)がありとあらゆるところに存在し、また、高低差のあるところでも雨水や雪解け水などでその水脈が常に増減しています。これにより、工場の下が水脈(水道)だった場合、増えた水が工場の床下で行き場を無くしてやはり裾野を広げるように逃げ場を求めて地面を削っていきます。その結果、水の引いた後に空洞が生じます。

 

■地盤沈下によるもの

埋立地だったり、元から浅いところに岩盤が無かったりする土地は地質がヘドロ状になっていて液状化しているのと変わりません。その上、杭を打とうとしても30m下まで掘っても岩盤に辿りつかない土地などが存在します。少なくとも地耐力トン数が強い支持層まで杭がたどり着けばセーフですが、それにすら達していない建築物が建設当時の建築基準次第ではいくらでもあるのです。

 

■治水によるもの

洪水・高潮などの水害や、地すべり・土石流・急傾斜地崩壊などの土砂災害から人々の命や生活などを守るために行われる治水工事がしっかりしていない土地だと、昨今では特に台風や大雨などの影響で簡単に洪水や土砂崩れなどが起きます。その結果、川沿いや海辺近くの工場などはそういった水の塊に床下の土をさらわれてしまうことがあり、これが空洞化につながります。

このような事情の積み重ねにより、どれだけ盤石な土台の上に工場があると信じていても、ついには薄氷の上に機械が置かれているかのようになるのです。

 

【床下に空洞ができるとどうなるか】

空洞化がたった5cmでもフォークリフトの車輪がめり込めば倒れればそばにいた人が潰れたり、荷物が当たりに飛び散ったりして大事故に繋がります。
また、床下陥没により工場内の生産機械が巻き込まれればやはり傾いた先に人がいれば大怪我に繋がりかねません。そして何より機械が大破したりすれば生産ラインがストップしてしまいます。それも一台どころか複数台同時に起きる可能性さえあります。

 

【サンドゲル工法について】

そんな空洞化に対し、有効なのがサンドゲル工法です。
コンクリートの床に小さな穴を開け、そこから特殊樹脂を液剤としたものを流し込みます。樹脂といってもレジンやプラスチックなどとは違い、塩酸10%やアルカリ苛性ソーダ10%などの薬品実験にも耐えうるため、コンクリートとも相性が良いので、空洞を隙間なく綺麗に埋めていきます。

 

【サンドゲル工法のメリット】

■工事費がお手頃

サンドゲル工法は他の修繕工事と違い、床の一部に穴を開けてそこから流し込むのみなので機械も動かさず、準備する道具は注入に関するもののみです。
他の修繕方法だった場合、床を一旦剥ぐ方法ならば機械を退けるために重機をレンタル費用がかかり、そういった機械を運ぶため、下に敷く分厚い鉄板も借りなくてはいけません。サンドゲルではそのような費用が一切かかりません。

 

■工期が短くて済む

サンドゲル工法なら300m2までは即日で完了します。しかも工場を止めなくても進められます。
もし床を一斉に剥がして修繕する場合、機材を出すだけで1週間はかかり、その間の工場ラインはストップします。そこから解体作業でコンクリートの鉄筋を張り直すなどの作業をするとなると最終的に工期が二ヶ月近くかかります。そこまで行ったら敷地を移したほうが早いかも知れません。

 

■耐荷重が強くなる

サンドゲル工法で用いる樹脂は硬化すると新設当時の1.5倍まで耐荷重が強くなります。仮に元の状態にしようとコンクリートを充填したところで、また雨水などの浸食により削れて行ってしまいます。しかしサンドゲル工法ならば樹脂の丈夫な結合力と耐水性や耐薬性などにより浸食をことごとく免れることが可能となるのです。

 

■サンドゲル工法の流れ

まずは専用のファイバースコープといわれるカメラで床下を確認します。それによって深さや範囲、状況などを観測し、お客様にも確認していただきます。それから直下に穴が存在する工場の床に一部穴を開けます。最後に特殊な液状樹脂を穴一帯が埋まるまで満遍なく注入します。これにより硬化が完了すると強固な土台が復活します。

 

【まとめ】

ただでさえ一年の予算において割かれる床の修繕費用は少ないものです。しかしどんな建物でも土台がまず大事となってきます。それを無視した結果、例えば工期に追われている最中に陥没事故が起きれば取引相手との信用問題にも関わってきてしまいます。
そういった責任問題も回避できる上に、工期も短く、施工現場も小さく、費用も抑えられる、何より新築時より頑丈になりうるといった様々な面でサンドゲル工法は大きなメリットがあります。

一方で工場を人間の体で例えるならば、弊社で行うファイバースコープによる調査は健康診断での胃カメラ検査に当たります。健康診断が大事なのは、例え癌であっても早期発見であれば手術も楽で、費用も安く済むからです。したがってここでも早期発見であればあるほど早期解決、安価での決着、または予防へと繋がっていくのです。
何事も、いざ乗り出せば今が一番最悪から遠い決着になります。まずは調査からご相談ください。

2020.06.03